
④調声作業&MIX
こんにちは、ムセキ(@nagoyakampo)です。
趣味で作曲をしていて、過去にはボカロ曲が市販されているゲームに曲が採用されたこともあります(PSP「初音ミク -Project DIVA-」の「猫なキミ」:774P名義)。
また、サブスク等でボカロ曲を配信しています(774P名義)。
今まで自分がやってきたボカロPや作曲活動についてのノウハウをブログ記事として残したのですが、今度は「自分で『ボカロ曲作ってみた』をやろう。」と思い立ちました。
実際に、まとめた記事の内容とどうリンクしているかもご紹介しながら、「実際にボカロ曲をどう作っているか」を皆さんにお伝えします。第4回目は、「調声作業&歌声MIX」です。出来上がったオケと作詞を元に、バーチャルシンガーに歌わせていきます。本記事は、以下の順番になっています。
調声の準備
調声の方向性を決める
メインの調声作業
コーラスパート作成
歌声のMIX
ミスチェック
さいごに
ボカロPが他のジャンルの音楽クリエイターとの違いは、Vocaloidをはじめとしたバーチャルシンガーを扱うという所です。実際にどう使っていくかを含めて詳しく書いていきます。
本記事を読んで頂いて、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
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調声の準備

まずは調声の準備です。僕が持っているソフトのうち、権利関係で、本ブログで使用出来るバーチャルシンガーはVocaloidのIAだけですので、Vocaloid Editorを立ち上げてIAを選びます。
後はDAW(Cakewalk by Bandlab)とDOMINOも立ち上げます。また、作った歌詞のファイルも開いて準備完了です。
こういったソフトの複数立ち上げをすることもありますので、ボカロPをするならマシンパワーがあるパソコンを選んだ方が良いでしょう。準備が出来たら、調声の方向性を決めます。
調声の方向性を決める

調声作業の前に、方向性を決めます。基本的には、
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【Vocaloid】ボカロ調声のコツ&テクニックまとめ【ボーカロイド】
のやり方に沿って調声を行います。
僕の場合はDOMINOを使ったDOMINO調声法がデフォルトですが、民族調等の場合はそれを応用した民族調用DOMINO調声法を使っています。
今回の「古代都市ルフレーン」はケルト若しくは異世界系の曲ですので、民族調用DOMINO調声法を使用することにします。
古代都市ルフレーン(Inst. version)
DOMINO調声法2種に関しては、以下の記事をご覧ください。
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【ボカロ調声のコツ&テクニック④】DOMINO調声法解説【Vocaloid】
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【ボカロ調声のコツ&テクニック⑤】民族調用DOMINO調声法解説【Vocaloid】
メインの調声作業

準備が出来、方向性が固まったら作業をしていきます。とにかく順番に進めていくだけですが、実際の作業もご紹介しながらお話ししていきます。
①メロディデータ読み込み
Vocaloid Editorにメロディデータを読み込みます。DAWのメインメロディを打ち込んだトラックのみMIDIデータでエクスポートし、それをVocaloid EditorでインポートすればOKです。
この時、同時にDOMINOにも読み込ませておきます。②歌詞の流し込みVocaloid Editorにて歌詞の流し込みを行います。流し込む際は、セクション毎に少しずつ流し込んでいきます。
一気に流し込んでも良いのですが、一か所ズレただけで全てズレるので、僕はその方法を取っていません。慎重に少しずつ流し込んだ方が、結果として早く出来ます。
②音符分割
一か所、音符分割をしています。1番2番共に同じセクションの同じ個所になります。
上の画像の通りです。Aメロで「るふれん」と歌詞で書いたのですが、実際に歌うと「ん」は歌い終わりになるようにした方が良かったというのが理由になります。
その為、歌詞も変更され「るふれえん」となりました。ボカロPさんの中には、ここで終了してそのままMIXに進む方も見えます。
僕は歌声データも編集したいので、メインの調声作業に入ります。
③DOMINOにて調声データを打ち込む
Vocaloid Editorへの流し込みを終えたら、DOMINOにてエクスプレッションとピッチベンドのデータを打ち込んでいきます。
エクスプレッションはVocaloid Editorではダイナミクス(DYN)、ピッチベンドはそのままピッチベンド(PIT)となります。
何処まで調声をするか?という問題がありますが、今回はエクスプレッションとピッチベンドのみの変更とします。
他のパラメータも変更していいのですが、そこまで行うとベタ打ちとの差が激しすぎて、キャラクターらしさが薄くなるというデメリットがあります(吹っ切ってそこまで行う場合もあります)。
今回の場合、Vocaloid EditorとDOMINOでは一か所音符分割しただけの違いしかありませんので、DOMINOのメロディデータは変更しなくても大丈夫です。
そのままDOMINOのデータを使用していきます。ちなみに、メロディを大幅に変える場合、DOMINOの方の音符データも同じように変更してから調声作業に入ります。
エクスプレッションとピッチベンドを民族調用DOMINO調声法に従って変更していきます。
一度、ワンフレーズ作ってみた所でVocaloid Editorにデータをインポートし、当たりを見てみると良いでしょう。
基本的に機械的に入力していくだけですが、ある程度のデータがまとまった段階で、同様にVocaloid Editorで確認していくと良いでしょう。
DOMINOでのデータ打ち込みが終わったら、Vocaloid Editorにデータをインポートさせます。
④DOMINOからVocaloid Editorへデータ移行
上の③で簡易的なものをしていますが、DOMINOで打ち込み編集したデータをVocaloid Editorにインポートします。
DOMINOでSMF(.mid)形式で書き出し、トラックへのインポートになります。拡張子が.vdqのままだとSMFが表示されませんのでご注意下さい。
インポートした調声済みデータと、Vocaloid Editorで歌詞を流し込んだ音符データを合わせて完成です。この時、Vocaloid Editorで再生してデータ打ち込みミスが無いかチェックします。
ミスチェックが終わったら完成ですので、後はWAVファイルに書き出してメインメロディの編集は終了です。
コーラスパート作成

メインメロディの次は、コーラスパートを作ります。いわゆるハモリですね。コーラスを作るコツは、基本的にメロディの3度下若しくは5度下に音符を配置することと、伴奏のコードに合わせた音程にすることです。
前者と後者が食い違う場合、後者を優先させます。今回の「古代都市ルフレーン」のコーラスは、Bメロはロングトーンで、サビはメインメロディの3度下と5度下で作っています。
Bメロのロングトーンは、曲のコード進行に合わせた音程にしています。この部分については、DYNとPITについてDOMINOで編集し、調声データを作って貼り付けています。
サビについては、先に打ち込んであるメインメロディのデータをコピー&ペーストして、後はコードに合わせて音程を上下させて作っています。
ここまで、調声したデータを以下にUPします。ご参考にしていただければ幸いです。
歌声のMIX

調声が終わったら、書き出した歌声WAVをオケとMIXしていきます。ちなみに、「古代都市ルフレーン」は以下のような歌声になりました。
メインメロディ
コーラス
MIXするコツは、歌声はしっかりコンプレッサー等で潰して平均化すること、しっかりと前に出すこと、オケとのバランスを曲全体で見ること、の3点になります。
特に、リバーブやディレイをエフェクトで加えると音が引っ込んでしまいます。また、声はEQでハイ上がりにしてくっきりとさせましょう。
Vocaloidは特に高音域の周波数が落ちているので、目立つように上げていきましょう。せっかく頑張って調声したので、前に出しつつも他の楽器も引き立たせる、というポイント目掛けてMIXしていきます。
「古代都市ルフレーン」の場合、Bメロが1番2番共に音量が小さかった為、その部分だけ音量を上げています。また、リバーブを気持ち深めにかけて、ライブ感を出すように仕上げています。
ミスチェック

一番時間がかかるのがミスチェックです。MIXまで終わったら、何度も曲を聴き直してミスが無いか探します。この時に大事なのは、とにかく色々な環境で聴いてみることです。
再生環境が違うと、それまででは見つからなかったミスが見つかることがあります。ですので、しつこく探すことが大切です。
ミスチェックが終わった時、何となく「曲が完成した。」という満足感が生まれてきます。この満足感が生まれないうちは、何処かにミスが潜んでいると思って探すようにしましょう。
今回の「古代都市ルフレーン」も、これで完成しました。以下から視聴&ダウンロードできますので、聴いて頂けたら幸いです。
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また、副産物として、ピアノ伴奏のみのバージョンも出来ました。試しにやってみたら良かったので急遽作った感じです。そちらも上記記事にUPしていますので、お聞きください。
さいごに

今回は、実際の作詞作業をご紹介しました。作曲作業と同じく、ミスチェックが大変でした。ですが、その分出来上がった時の嬉しさは言葉に出来ません。
本記事が少しでもご参考になれば嬉しいです。ボカロPになると世界が変わります。迷っている方は、ぜひチャレンジしてみてください。
ボカロP関連の記事は、
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【Vocaloid】ボカロPになる方法まとめ【ボーカロイド】
にまとめています。是非ご覧ください。
それでは、ムセキでした。