どうも、ムセキ(@nagoyakampo)です。
「作曲するにはコード進行が解らないと駄目だけど、ルールがよく解らない。」
とのご質問をたまに受けます。
確かに、コード進行が解らないと作曲って出来ないと言えます。ですけど、コード進行の名前を知らなくても、響きの組み合わせが合っていれば問題なかったりします。
まあ、感覚やノリで何とかなってしまうものですけど、今回は、そういう部分をちょっと掘り下げてみたいと思います。
コード進行の色々な技法を全体的にご紹介しますので、今後の作曲にお役立て頂ければ幸いです。
本記事は、以下の構成になっています。
コードはスケールの中で動く
コード進行の基本は安定と不安定の繰り返し
コードの種類は基本的に3種類
代理コードは兄弟姉妹
テンションコードはお化粧
借用和音という荒業
転調はレールの変更
その他の技法
コード進行の勉強の仕方
コード進行は曲の骨格部分になります。骨組みですね。この部分がしっかりしていると、曲の安定感というか完成度が上がります。
見えにくい部分ですけど、全体に影響が出てくるので注意したい所です。
それでは順番にご紹介していきます。どうぞご覧ください。
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コードはスケールの中で動く
スケール自体を変える転調や借用和音(後述)というのもありますが、基本的にはその決められたスケールの中で動きます。
スケールには主な所で、メジャースケールとマイナースケールの2種類があります。簡単に、メジャーは明るく楽しい音階、マイナーは暗く寂しい音階と覚えて頂ければOKです。
基本の基本のスケールはCメジャー(ハ長調)になります。「ドレミの歌」でご存じの「ドレミファソラシド」だけを使うスケールですね。
この時、このスケールの主とする音(主音=ルート音)は「ド」になります。
それをスライドしていくと・・・。
ピアノの鍵盤を思い出していただけると解る通り、白鍵が7つ、黒鍵が5つありますので、計12スケールになります。
また、マイナースケールには3種類(ナチュラルマイナースケール、メロディックマイナースケール、ハーモニックマイナースケール)あります。
ナチュラルマイナースケールはメジャースケールの6度音をルートとするスケールで、「ラシドレミファソラ」
メロディックマイナースケールはそのスケールの第3音を半音下げると出来るスケールで、「ドレミ♭ファソラシド」
ハーモニックマイナースケールはそのスケールの第3音を半音下げると出来るスケールで、「ドレミ♭ファソラ♭シド」
これらをメジャースケールと同じ様にスライドして12種類。メジャー&マイナースケール併せて48種類のスケールが出来る事になります。
「こんなに覚えるのは大変!」と思われるかもしれませんが、とりあえずまずは使ってみる事が大事です。
また、ナチュラルマイナースケールはそのルート音の2度上の音をルート音とするメジャースケールと構成音が同じなので、無視しても良いかもしれません。
Aナチュラルマイナースケール:ラシドレミファソラ
Cメジャー:ドレミファソラシド
ちなみに、ボーカル入りの曲を作る場合は、男性ならBメジャー、B♭メジャーを使う事が多く、女性ならFメジャーかGメジャーを使う場合が多いです。
Bメジャー:シド#レ#ミファ#ソ#ラ#
B♭メジャー:シ♭ドレミ♭ファソラ
Fメジャー:ファソラシ♭ドレミ
Gメジャー:ソラシドレミファ#
これらのスケールで曲を作ると、丁度いい高さにボーカルが来てくれますので歌いやすいんですよね。
ですので、スケールを全部覚えなくても、これらの様によく使うものだけ覚えていればいいのではないでしょうか。「習うより慣れろ。」で、感覚に落とし込んだ方が良いと思います。
コード進行の基本は安定と不安定の繰り返し
そのスケールのルートのコードは安定、5度のコードは不安定です。更に、その中間が4度のコードです。
Cメジャー(ドレミファソラシド)なら、以下の様になります。
安定したコード(トニックコード):C(ドミソ)
不安定なコード(ドミナントコード):G(ソシレ)
二つの中間(サブドミナントコード):F(ファラド)
これらの基本的な3種類のコードを使い分けて、曲が出来ていくという事になります。不安定なドミナントコードが出てきたら、その次は安定したトニックコードへ行く事が多いです。
また、例外はありますが、曲の終わりやAメロ、Bメロ、サビ等の各部分の終わりはトニックコードで終わる事が基本です。
サブドミナントコードは、トニックとドミナント、両方のコードの性質を持ったコードになります。
このコードは凄く使い勝手が良く、トニックとドミナントの2つを繋ぐ「接着剤」みたいな働きをします。
コードの種類は基本的に3種類
Cメジャースケールなら、上に出したC・G・Fの3つだけでOK。それを、安定・不安定を考えながら並べていく事で曲を作っていきます。
ちなみに、この3つのコードを「スリーコード」と言います。
こうして並べたコードに、メロディを乗せていきます。メロディの作り方は、以下の記事をご参照下さい。
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【作曲初心者向け】メロディの作り方5つのコツを解説します!
これらスリーコードを使ってコード進行を決めて、メロディを乗せる事で1曲作る事が出来ます。スリーコードのみですと、保育園等で出てきそうな感じの曲になります。
ちなみに、メジャースケールだけでなく、マイナースケールにも同じコード進行の規則があります。基本的なマイナースケールのコードだけ使うと、演歌みたいな曲になります。
代理コードは兄弟姉妹
基本的な3種類のスリーコードだけでも曲は出来ますが、シンプル過ぎて逆に面白くないんですよね。すぐ飽きちゃうんです。
ですので、ちょっと変化をつける為に、代理コードを使っていきます。代理コードはスリーコードの兄弟姉妹みたいな位置づけで、曲のバリエーションを広げてくれます。
上の見出しと同じ様に、Cメジャースケールで例を出してみますね。
トニックコード(C:ドミソ)の代理コード:Am(ラドミ)、Em(ミソシ)
ドミナントコード(G:ソシレ)の代理コード:Bm♭5(シレファ)、Em(ミソシ)
サブドミナントコード(F:ファラド)の代理コード:Dm(レファラ)
これでスケールの7音(ドレミファソラシ)全てのコードが出揃いました。
このうち、Amはかなりの頻度で使います。その次がDmとEmですね。Bm♭5は殆ど使える場面が無いので無視しても良いでしょう。
Bm♭5を除いた残り3つの代理コードについて、少しご紹介します。解りやすくまとめますと、以下の様になります。
Am:トニックのCのマイナー(暗い、寂しい)バージョン
Dm:サブドミナントコードFの代理で、ドミナントモーション(Dm→G7→C:後述)によく使う
Em:トニックの代理にもドミナントの代理にもなる変わったコード。前後のコードで働きが変わるカメレオンコード
AmはCと簡単に置き換えられますが、Dmはドミナントモーションがメイン、Emに至っては前後のコードで働きが変わるので使うのに慣れが必要です。
ドミナントモーションというのは「Dm-G7-C」のセットになったコード進行で、曲のブロックの最後に使われる事が多いです。「お約束」というやつですね。
まずはAm、その次Dmの使い方、最後にEmの使い方をマスターしていくと良いでしょう。一気にやるとパンクするので、ゆっくりと覚えて行った方が早くマスターできます。
スリーコードのみの時と違って、かなり複雑になった印象になります。
実は、スリーコードと代理コードを中心に使った名盤があります。世界の歌姫テイラー・スウィフトの「Speak Now」というアルバムです。
本当に簡単なコードしか使っていないにも関わらず、滅茶苦茶センスの高い曲を書いています。僕はいつも、「作曲の勉強としたい!」と仰っている方にオススメしています。
ドライブや作業BGMとしても最適なので、持っていて損はないですよ。
テンションコードはお化粧
テンションコードというのは、和音の中に7度、9度、6度等のテンションノートと呼ばれる音が含まれるコードの事で、緊張感(テンション)を伴った響きになります。
例えると「コードのお化粧」みたいな感じで、テンションを伴った音を加える事で、響きを複雑にしてカッコよく美しくしてくれます。
ちょっとイメージしにくいと思いますので、例を出します。例によってCメジャースケールになります。
Cmaj7:ドミソシ
F7:ファラドミ
Cadd9:ドミソレ
こういうコードを使えるようになると、かなりカッコいい曲も作れるようになります。とは言っても種類が多いですし、僕も7度9度位の使用しかしていません。
ジャズやボサノバはこういうテンションコードが沢山出てくるので、こういう音が好きな方は深く勉強されても良いと思います。
メロディの音を加えてテンションコードにするという方法もアリなので、色々とアイデアが膨らみますね。
借用和音という荒業
スリーコードと代理コード、テンションコードだけでも良いのですが、意外性やアクセントが欲しい場合に使用します。
別名「ノンダイアトニックコード」。例えるならコードの助っ人ですね。正直な所アクが強くて目立つので、ここぞという時に使用するイメージです。
Cメジャースケールで例を取り上げると、D,Fm,E7でしょうか。
D:代理コードのDmのメジャーコード版です。このコードを多く使うと、民族調の響きが出ます。非常に使いやすいコードですね。
Fm:あまり使わないイメージですが、F→Fmと続けると、南国っぽい香りの響きになります。ハワイアンミュージック等に合うコードです。
E7:Emのメジャー版コードです。このコードは通常セブンスで使用し、強烈にトニック代理コードであるAmに行きたがるドミナントコードになります。
これらは、耳にすると「お?!」という感じになります。ありきたりな曲にならない為に、こういうコードを使えると良いですね。
転調はレールの変更
よく、「サビで転調」「最後で転調」と言われます。転調すると曲のイメージがガラッと変わりますので、POPSなんかでよく使われています。
多いのが「キーを一つ上げる」という言い方をされる転調。サビを繰り返したりする場合によく使用します。
最初にCメジャースケールを使っている場合は、C#メジャースケールへの転調になります。
また、メジャースケールとマイナースケールの切り替えを行う転調もあります。これはキーが変わらないので、歌モノで多く見られます。
後、クラシックやジャズで見られるのが属調への転調になります。属調というのは、元のスケールの5度の音がルートになるスケールになります。
例を出しますと、Cメジャースケールの場合はGメジャースケールという感じです。繰り返しの多いロンド形式でよく用いられる転調ですね。
その他の技法
ここでは簡単にご紹介するだけに留めます。
ペンタトニック
ペンタトニックというのは、そのスケールを構成する音が5つ(ペンタ)である所からそう呼ばれます。
色々な種類があり、有名なものに民謡で使われるような「四ナ」等があります。
ペンタトニックを使用すると、その地方独特の色を帯びた音楽になります。「47抜き」は日本の民謡っぽく、「琉球音階」は沖縄音楽っぽくなります。
こういう雰囲気が欲しい時に部分的に使うという方法が最近流行っていますね。
教会旋法というのは、グレゴリオ聖歌等で使われる教会音楽の技法になりますが、ジャズ等では「モード」と呼ばれて頻繁に使われます。
POPSにはあまり出てこない様に思いますが、ケルト音楽や民族調音楽を作る時には多用する技法になります。
人と違う曲を作りたい、ケルト音楽の様な癒し系を作りたい方は、代表的な「ドリア旋法」だけでも覚えておいた方が良いでしょう。
Cメジャースケールで例を出しますと、以下の様になります。
ドリア旋法(レミファソラシドレ)
光が差すような、救われるような曲になりますよね。
「ムセキノオト」のワールド音楽では、このペンタトニックや教会旋法を使った曲が多数あります。一度聴いてみて下さいね。
コード進行の勉強の仕方
色々とコード進行の技法についてご紹介してきましたが、多分「こんなに多く一気に無理!」だと思います。
何も最初から技術に走る必要もありません。ですので、今自分に出来る作曲をして行けば良いのではないでしょうか。
色々と作ってみて、自然と出て来たコードで「あれ、この響きは知らないなあ。」と思った時に調べるという方法が良いです。
これだと、自然とそのコードを使った進行になりますので、逆に分析しやすいんですよね。
そうして色々と曲を作って、慣れてきたら「次はこのジャンルの曲を作ろう!」と挑戦してみるのが良いです。
僕もこの方法で、作曲の幅を広げてきました。例えばジャズなら、基本的なコードがセブンスになります。
ですので、テンションコードの使い方はジャズの曲を作っていく上で覚えましたし、「ケルト音楽作ろう!」と思って色々と作ってドリア旋法をマスターしました。
とにかく使って覚える、という方法が大事なのではないでしょうか。
さいごに
今回は、コード進行についてご紹介してきました。
本記事が、貴方が曲作りをするきっかけになれば幸いです。
作曲関連の話題は、
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【初心者向け】作曲のコツまとめ
のまとめ記事からが便利です。
また、「ムセキノオト」では無料音楽素材の提供やコラム、レビュー等を書いています。ごゆっくりお楽しみ下さい。
それではまた!ムセキ(@nagoyakampo)でした。