
「歌詞」と「詩」の違いについて。
こんにちは、ムセキ(@nagoyakampo)です。趣味で作曲をしていて、過去には市販されているゲームに曲が採用されたこともあります。
今は、歌の無いインストゥルメンタルを中心に作曲していますが、過去にはボカロ曲等、歌詞のある曲を作っていました(サブスク配信、ゲーム内の曲としての採用実績もあります)。
歌のある曲にする為には、オーケストレーション(オケ)だけではなく歌詞も必要です。歌詞を書く「作詞」は、「作曲」とはまた違った難しさやコツがあります。
作詞について、自分自身はボカロ曲を作るまでは全く触ったことが無く、色々と調べて苦労しました。ですので、まとまった情報があると同じ様に困っている方のお役に立てると思い、本記事を書くことにしました。
本記事は、以下の構成になっています。
「歌詞」と「詩」の違いを理解する重要性
「歌詞」とは何か。
「詩」とは何か。
「歌詞」と「詩」の共通点と違い。
歌詞と詩の違いを念頭に置いて作詞をする。
さいごに
まずは、導入として「歌詞」と「詩」の違いについて把握することが大事です。違いを把握し、そうすることで歌詞の完成形(ゴール地点)が見えてきます。
その辺りを、今から詳しくご紹介していきます。
少しでもお役に立てたら嬉しいです。
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「歌詞」と「詩」の違いを理解する重要性

最初に、「歌詞」と「詩」の違いを理解する重要性をお話しします。
「作曲」というのは曲を作る作業で、音楽を作る行為全てを指します。対して、「作詞」というのは「歌の入る曲につけられる歌詞を作る作業。」になります。
当然ですが「歌詞とは、歌われて初めて完成するもの。」です。そのため、歌詞と詩の意味を混同したまま作詞をすると、十中八九失敗します。
「歌詞」と「詩」は完成形が違いますから、その完成形をイメージして作るかどうかが大切になります。「詩」ならOKですけど、「歌詞」ならNGということもザラにあります。
こういった失敗は、事前にわかっていれば避けることができます。失敗をすると、その分余計なコスト(労力や時間)がかかります。
避けられる失敗は避けた方が良いですよね。「歌詞」と「詩」の違いを解って作詞していけば失敗が少なくなり、そのコストは激減します。
それでは、次の段落から、「歌詞」と「詩」について、順番に見ていきましょう。
「歌詞」とは何か。

「歌詞(かし)」とは、音楽の楽曲の構成要素の一つである「言葉」や「文」のことを言います。歌詞は、その曲のテーマやストーリー、感情を表現するための重要な要素になります。
また、その曲を聴いているリスナーにメッセージを伝える手段であり、しばしば日常会話等では使われない、創造的な表現が用いられることがあります。
歌詞を通じて、アーティストや作詞家は自分の思いや経験をリスナーと共有することができます。
一つの例としては、同じラブソングというカテゴリーの曲であっても、青春時代の初恋を表現した歌詞もあれば、別れの歌詞や結婚直前の歌詞等もあり、内容はさまざまです。
このように、音楽が人々に感動を与えるのは、メロディーと歌詞の組み合わせによってそれが心に響くからでしょう。
つまり、歌詞というのはそれが乗る歌唱が必須であり、それがあって初めて歌詞は完成されると言えます。
その為、作詞においては曲の盛り上がりに合わせて言葉や展開を選ぶ必要があります。歌詞はメロディラインをはじめ、楽曲全体に影響を与え、また、影響を受けている訳です。
次の段落では、「詩」について解説していきます。
「詩」とは何か。

「詩(し)」とは、言葉や音のリズム、比喩、象徴などを用いて感情や経験、風景、思想などを表現する文芸の一形式です。
詩はしばしば、その詩を読む為の音のリズム、行分けなどの形式的な要素を含み、その一部は韻を踏むことで特定のリズムを作り出しますが、現代詩には自由詩もあり、形式にとらわれずに書かれることも多いです。
詩は、 感情やイメージを強調するために慎重に選ばれた言葉が用いられます。比喩や象徴を使って深い意味を伝え、読者に思考や感情の深まりを促します。
例えば、芭蕉の俳句「古池や蛙飛び込む水の音」は、わずかな言葉の中に季節感や風景の静寂が巧みに表現されています。詩を通じて、新たな視点や感情の発見ができるのも魅力の一つです。
このような、文章を用いた芸術が「詩」と呼ばれるものになります。ポイントは、詩というのは、その文章本体での表現が全てという側面があり、それを読む、若しくは声に出して話すという使い方が主である、という所です。
それ自体で完成されているというのが、詩の特徴になります。
「歌詞」と「詩」の共通点と違い

ここまでで「歌詞」と「詩」についてご紹介しました。両方共、言葉を通じて感情や思想を表現する形式ですが、いくつかの共通点と違いとがあります。
共通点
「歌詞」と「詩」は、どちらも感情や内面の思いを表現することを目的としています。また、言葉の選択や表現において、日常会話では使わないような創造的なアプローチが求められることがあります。
さらに、両方ともリズムや音楽的な要素が含まれていることがあり、歌詞はもちろん音楽と直接結びついていますが、詩も音楽的なリズムを持つこともあります。
違い
歌詞は音楽に合わせて歌うために書かれますが、詩は独立した文芸作品として存在します。歌詞はメロディラインに乗って歌われて、初めて完成される芸術と言えます。
また、歌詞は通常、繰り返しのある構造(例えばコーラス)や特定のリズムに合わせて書かれます。一方、詩は形式が自由で、音楽に合わせる必要はありません。
歌詞はメロディやリズムに合わせる必要があるため、言葉選びに制約があることがありますが、詩は形式にとらわれずに自由に表現できます。
歌詞と詩の違いを念頭に置いて作詞をする

歌詞と詩を比べて解る通り、共通点もあれば、違いもあります。そもそも、少しでも違いがあれば、完成形は全く違うものになります。
作詞においても、「歌詞を作る。」という前提でいかないと、そのゴール地点の設定が出来ない為、高確率で失敗してしまいます。
逆に言いますと、その違いを理解していれば、失敗をすることが少なくなります。「転ばぬ先の杖」という諺の通りですね。
歌詞の修正ポイントは、歌に乗って耳に届いて初めて解ることも多いです。メロディラインやオーケストレーションとの兼ね合いで、NGと判断することもあります。
「歌詞は、楽曲で歌われて初めて完成する。」この言葉を常に忘れずに、諦めず作詞を続けていくことで、良い歌詞が書けるようになります。
さいごに

今回は、作詞講座第一回目ということで、「歌詞」と「詩」の違いをお話ししました。
基本的なことですけど、それ故にずっと付きまとうものでもあります。本記事で、しっかりと両者の違いを押さえることが出来たのではないでしょうか。
貴方の作詞作業の手助けになれば幸いです。それでは、ムセキでした。
「作詞のコツ」まとめ記事は、以下のリンクからどうぞ。
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【歌詞の書き方】作詞のコツまとめ【初心者講座】